【2026年新・地政学】「米中密月」と「資源争奪」の狭間で。個人投資家が今、見直すべきシナリオ

皆さんは、2026年の株式市場をどのような「物語」で捉えていますか?
「トランプ政権だから米中対立が激化し、ブロック経済が進む」
「AIバブルが続き、ハイテク株一強が続く」
もし、こういった「2025年までの常識」だけでポートフォリオを組んでいるとしたら、少し立ち止まったほうがいいかもしれません。
複数のレポートや現地情報を突き合わせると、市場のコンセンサスとは「真逆」の地殻変動が起き始めています。
キーワードは3つ。
「アフォーダビリティ(生活の余裕)の欠如」「AIが生むエネルギーインフレ」、そして「グリーンランドという火種」です。
今回は、表面的なニュース速報ではなく、その裏にある「構造変化」を読み解き、私たち個人投資家がどのセクターに目を向けるべきか、徹底的に深掘りします。
■主な証券会社の比較表
1. 【現状分析】2026年、米国経済の「誤算
2026年、米国経済は数字上(GDP成長率2%台半ば予想)では悪くないように見えます。しかし、実体経済、特に中間層以下の生活実感は「危機的状況」にあります。
「アフォーダビリティ」の崩壊
いま、ワシントンで最も恐れられている言葉が「アフォーダビリティ(Affordability)」です。簡単に言えば、「生活必需品を買う余裕があるか」という指標です。
インフレ率は3%程度に落ち着いてきたと言われますが、それは「上昇スピード」が落ちただけ。バイデン政権時代から累積で2割近く上がった物価は高止まりしたままです2。
特に衝撃的なのが「牛肉」と「電気代」です。
- 牛肉価格の高騰: 2022年頃の干ばつとコスト増で、畜産農家が牛を若いうちに売ってしまい、現在、米国内の牛の飼育数が激減しています。米国人にとっての牛肉は、日本人のお米と同じ。「高くて買えない」は政権への怒りに直結します。
- AIによる電気代高騰: これが現代特有の問題です。AIデータセンターの急増で電力需給が逼迫し、一般家庭の電気代まで押し上げています。「AIの恩恵を受けていない層が、高い電気代だけ払わされる」という不満が爆発寸前です。
トランプ関税は「限界点」へ
トランプ氏は「関税で国内産業を守る」と豪語してきましたが、これ以上関税を上げれば、国内の物価高にトドメを刺してしまいます。
実際、最近の動きとして、食料品にかかる関税を急遽「除外」する動きすら見せています。また、法的根拠としていた通商拡大法232条以外の関税(IEEPAに基づくもの)について、裁判で「大統領にそこまでの権限はない」と敗訴する可能性が高まっています。
つまり、米国はこれ以上「インフレを誘発する対外強硬策」が打てない手詰まり状態にあるのです。
2. 【地政学転換】なぜ今、「米中密月」なのか?
ここで、「対立」から「ディール(取引)」への大転換が起きます。
驚きの「年4回」首脳会談
2026年、トランプ大統領と習近平国家主席は、なんと年4回も会う可能性があります(訪中、訪米、APEC、G20)。
これまで「米中対立」を前提に世界は動いてきましたが、トランプ氏周辺からは対中強硬派が姿を消し、「ディール優先」の姿勢が鮮明になっています。
なぜか? 理由はシンプルです。
「選挙(中間選挙)」と「経済」のためです。
米国は、農家のために中国に大豆を買ってもらわなければなりません。
中国も、経済制裁を緩和してほしい。
両国の利害が、「対立」よりも「一時的な停戦」で一致したのです。
「日本置き去り」のリスク
ここで冷や汗をかくのが日本です。
中国にとって対日関係は「米中関係の延長線上(おまけ)」に過ぎません。
もし米国が「中国さん、大豆を買ってくれるなら、アジアでの多少の振る舞いには目をつむるよ」という姿勢に転じたらどうなるか?
「尖閣や台湾周辺で日本が圧力を受けても、米国が全面的には守ってくれない」というシナリオが現実味を帯びてきます。
3. 【資源戦争】グリーンランド報道の深層
米中が握手をする一方で、水面下では激烈な「資源確保」の戦いが進行しています。その象徴が、最近報じられた「米国のグリーンランド領有・軍活用検討」です。
なぜ今、グリーンランドなのか?
ホワイトハウスは「グリーンランドの領有は安全保障上の優先事項」とし、「軍の活用も選択肢」と明言しました。
これに対し、欧州各国は猛反発していますが、米国がなりふり構わず動くのには理由があります。
それは「レアアース(希土類)」です。
中国の「レアアース・カード」への恐怖
実は以前、米国が対中半導体規制を強化しようとした際、中国は報復として「レアアースの輸出管理」を強化しました。これが米国にとって「痛恨の一撃」となりました。
米国の最新兵器やEV、そしてAIデータセンターに必要な機器。これらは中国産のレアアースなしでは作れないことが露呈したのです。
「中国に首根っこを掴まれたくない」
この焦りが、レアアース資源が豊富なグリーンランドへの強引な関与に繋がっています。北極圏航路の確保という軍事的意味合いも強いですが、本質は「ハイテク覇権を維持するための資源確保」です。
4. 【投資戦略】この局面で輝く3つのセクター
さて、ここまでの「点」を線で繋ぎましょう。
- 米国はインフレ(電気・食料)に苦しみ、これ以上のコスト高は許容できない。
- そのため中国とは「手打ち」をし、関税合戦は休止する(一時的な平和)。
- しかし、裏では「資源(レアアース)」と「エネルギー」の確保に必死である。
- 日本は「米国の後ろ盾」が揺らぐ中、自立を迫られる。
このシナリオから導き出される、2026年以降の投資テーマは以下の通りです。
① AIインフラ・電力関連(Utility & Grid)
AIブームは「ソフト(半導体・サービス)」から「ハード(電力・設備)」へシフトしています。
今の米国経済のアキレス腱は「電力が足りない」ことです。
- 発電設備、送電網(グリッド)の更新を担う重電メーカー
- 安定電源としての「原子力」関連
- これらは「AI需要」と「インフレ対策(供給を増やして価格を下げる)」の両面で国策となります。
② 資源・商社・非鉄金属
米中の「グリーンランド争奪戦」や「レアアース報復」が示す通り、資源はもはや単なる商品ではなく「安全保障そのもの」です。
- 供給網を握る日本の総合商社
- 銅・ニッケル・レアアースなどの非鉄金属セクター
- 米中が「ディール」をする間も、資源の囲い込みは止まりません。インフレヘッジとしても機能します。
③ 独自の「防衛・セキュリティ」
「米中密月」は日本にとって悪夢です。米国が中国に配慮して、アジアへの関与を少しでも弱めれば、日本は自国の防衛力を強化せざるを得ません。
- 防衛関連銘柄(重工、通信、セキュリティ)
- サイバーセキュリティ(物理的な衝突より先に、サイバー空間での攻防が激化するため)
5. まとめ:今、私たちが準備すべきこと
2026年の投資環境は、これまで以上に「政治」と「生活コスト」が密接に絡み合います。
「米国株を買っておけば安心」という単純な神話は、アフォーダビリティ・クライシス(生活費危機)の前で揺らいでいます。一方で、「電力が足りない」「資源がない」という明確な欠乏(ボトルネック)こそが、次の大きな利益の源泉になります。
最後に一つ、アドバイスを。
こうした「構造変化」が起きた時、市場は一瞬で反応します。
「ニュースを見てから口座を開設する」のでは、初動の利益を取り逃がしてしまいます。
まだ証券口座をお持ちでない方、あるいは一つの口座しか持っていない方は、今のうちに「準備」だけはしておいてください。
日本株、米国株、そして商品(コモディティ)にアクセスできる環境を整えておくことが、この不透明な時代を生き抜く最大のリスク管理になります。
今は「様子見」の時ではありません。「選別」の時です。
皆さんの投資判断の一助になれば幸いです。




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