乗り遅れるな!TLTとEDV、長期米国債ETFを今買うべき理由
はじめに
インフレの鈍化と共に、市場では利上げの終了が一般的な見方となっており、投資家の関心は、現在の高金利がいつまで続くのか、そして、いつから利下げが始まるのかへと移っています。FRBが正式な利上げ終了宣言を出してはいませんが、市場では利上げ終了の雰囲気が広がっており、これが現代の投資市場の多様化と投資家が安定したリターンを求める動向と相まって、米国債券ETFへの注目が高まっています。特に、金利の変動に敏感に反応し、比較的安定した収益機会を提供する長期国債に投資するETF、例えばTLT(iShares 20+ Year Treasury Bond ETF)とEDV(Vanguard Extended Duration Treasury ETF)が、安全資産としての米国債の関心を集めています。
金利が上昇する時期には債券価格が下落し、金利が下落すると債券価格は上昇するという基本的な原則から、今後の市場は利下げが焦点となるでしょう。これにより、特に魅力的な水準にある米国債券ETFは上昇傾向にあると考えられます。この記事では、金利変動期における安全資産としてのこれらのETFへの投資がなぜ注目されているのか、そしてどのような投資戦略が有効なのかを詳しく解説します。利上げの終了が見込まれる中で、私たちはこれらの債券ETFに注目し、今後の市場変動に備えることが求められています。
債券と債券ETFのちがいについて
そもそも債券とは?
債券は、政府や企業が資金を調達するために発行する有価証券の一種です。債券を購入することで、その発行者から将来的に元本と利息を受け取る権利を得ます。債券の利回りは、通常、発行時に固定され、債券の信用格付けや市場金利の変動によって異なります。債券の購入は、比較的低リスクの投資とされており、定期的な収入を得たい方に適しています。
債券ETFとは?
債券ETFは、債券をポートフォリオとしてまとめた上で、そのポートフォリオを株式のように証券取引所で売買できるようにした投資商品です。債券ETFを購入することで、私たちは一つの取引で多様な債券への投資が可能となり、流動性の高い形で債券市場にアクセスできます。債券ETFは、運用会社によって管理され、ポートフォリオは定期的に調整されます。また、債券ETFの価格は市場の供需によって日中動くため、時価で売買されます。
- 流動性 債権は一般に、満期まで保有または二次市場で売買することができますが、流動性が低い場合があります。一方、債券ETFは証券取引所で株式のように日中売買されるため、高い流動性を持っています。
- 流動性 個々の債券に投資する場合、多様化を達成するためには複数の債券を購入する必要があります。しかし、債券ETFを通じて投資すると、一つの取引で広範囲の債券に分散投資ができます。
- 手数料とコスト 債券ETFは管理手数料がかかることがありますが、個別に債券を購入する際の取引コストや管理の手間を省くことができます。
- 収益性 個別の債券は通常、額面価格に基づいて取引されますが、債券ETFの価格は市場の供需によって変動します。
米国債と債券の違いについて
米国債とは?
米国債は、アメリカ合衆国政府が発行する債券の一種で、最も一般的な形態は米国財務省が発行する国債です。米国債には、短期の財務省証券(T-Bills)、中期の財務省ノート(T-Notes)、長期の財務省債(T-Bonds)などがあります。これらは、アメリカ政府の信用に基づいているため、非常に安全な投資とされています。米国債は、世界中の投資家にとって安全な避難先と見なされ、広く取引されています。
- 発行体 債券は政府、地方自治体、企業など様々な組織が発行しますが、米国債はアメリカ合衆国政府が発行する特定の種類の政府債券です。
- リスクと安全性 米国債はアメリカ政府が支持しているため、世界で最も低リスクと見なされる投資の一つです。一方、債券全般のリスクは、その発行体の信用力によって異なります。
- 目的と用途 米国債は、特にリスクを避けたい投資家や、安定した収入を求める投資家に適しています。債券はより広範な選択肢を提供し、投資家はリスクとリターンのバランスに応じて選択できます。
つまり、米国債は債券の一種であり、特にアメリカ政府が発行するものを指します。一般に「債券」と言った場合、これはより広い範囲の借入証書を指し、発行体やリスク、リターンが多様です。
それでは本題のそれぞれのETFについてみていこう。
僕のおすすめはこの2つ‼
【TLT】iシェアーズ米国債20年超ETFについて
iシェアーズ米国債20年超ETF(ティッカーシンボル: TLT)は、2002年11月20日に設定された純資産額約3兆円を超えるブラックロック社運用の大規模な投資信託です。このTLTは、20年以上の米国長期国債にほぼ全額投資し、バークレイズ・キャピタル米国国債(20年超)インデックスをベンチマークとしています。比較的高い経費率(0.15%)を有するものの、毎月分配金を支払い、直近の利回りは3.62%となっています。
債権の価格が下がれば下がるほど 債券ETF の特性として配当利回りは上がっていくのは魅力の1つかもしれません。
TLTの主な特徴は、高い流動性、毎月の安定した分配金、インカムゲインとキャピタルゲインの双方を目指せる点にあります。また、このETFはS&P500と逆相関の動きをすることが多く、株式市場が大きく下落する局面では価値が上昇する傾向にあります。例えば、2020年のコロナショック時や2008年のリーマンショック時には、株価が大きく下落する中でTLTの価格は大きく上昇しました。
そのため、TLTはポートフォリオのリスク分散やヘッジとして有用であり、特に株式市場の下落時には価値が上昇する傾向があるため、リスク管理の観点からも魅力的な投資先と言えます。
【EDV】バンガード超長期米国債ETFにいて
バンガード超長期米国債ETF(ティッカーシンボル: EDV)は、2007年12月6日に設定された、総資産約31.7億ドルを有するバンガード社運用の投資信託です。このEDVは、20年以上の高期間ゼロクーポン米国国債に投資し、Bloomberg 20-30 Year Treasury Stripsをベンチマークとしています。経費率は非常に低く0.06%であり、直近の利回りは約3.79%、分配金は四半期ごとに支払われます。
EDVの特徴としては、高期間(長期)の米国国債に投資している点にあり、これにより利率変動リスクや市場の変動による影響が大きくなり得ます。しかし、これは同時に市場の利率が低下する際には価値が増加する機会を意味します。特に、金融市場の不安定な時期において、安全資産としての役割を果たし得るため、ポートフォリオの多様化に貢献することが期待されます。
しかし、長期国債に投資しているため、利率の上昇は価格の下落リスクを高め、そのボラティリティは短期国債に投資するETFよりも一般的に高くなります。実際に、過去1年間のリターンは-13.41%となっており、これは市場の変動に対する感応度の高さを示しています。また、EDVの保有資産は83種類と多様であり、分散投資を通じてリスクの管理を図っています 。
長期債券ETF【TLT・EDV】現状のチャート分析
【TLT】現状のチャート
下値の80円ラインが底堅くしっかりと2023年の10月に反発している。利下げの期待値を考えるとここからの反発は大いにあり得えるのではないだろうか。
【EDV】現状のチャート
2007年の発足以来去年最安値を付け現在反発している。TLTのような底堅さはないが最安値の62円からの最高値が189円とボラティリティの高さがうかがえる。
FOMCは金利据え置き、今後の投資戦略
FRB(連邦制度準備理事会)が掲げる使命は、”最大限の雇用と物価の安定“です。このシンプルながらも強力な目標は、経済の健全性を測るバロメーターとして機能しています。最近の金融政策会議(FOMC)では、FRBの動向を示す重要な指標、いわゆる”ドットチャート”が注目を集めました。この中央値は変わらず、多くの理事が年内に3回の利下げを予測していることが明らかになりました。しかし、詳細を見ると、年内に1~2回の利下げを見込む理事の数が増加しているのでした。
この背景には、米国のPCE物価指数の動向があります。この指数はインフレを測る上で重要な指標で、最近では概ね低下傾向にあったのですが、昨年8月以降、下落ペースが鈍化、インフレ率を目標の2%近辺に抑えることは難しいとされ、今後もFRBの悩みの種となりそうです。次のPCE発表は待ち遠しいところですが、2024年3月のFOMCでは、今年の予想PCEが2.4%と、インフレがなかなか収まらないという見方が示されました。
一方で、失業率は現在3.9%と、低水準を維持しており、完全雇用とも言える状態です。FRBもこの状態が続くと見ており、労働市場の強さが示されています。
これらのデータを踏まえると、利下げが年内3回になる可能性が高いと予想されます。これは、10年米国債の金利にも影響を及ぼし、現在の4.2%台から、長期的には3%前半から半ばに落ち着くことが予測されます。
現在の金融環境と市場の動向をみていると、今後の金利上昇の余地は限られており、どちらかと言えば、金利が下がる方向、つまり利下げの可能性が高いと思います。この予測が正確であれば、債券の価格は上がっていくはずです。したがって、今後の投資戦略としては、今が債券を買う良いチャンスだと考えています。市場の流れをしっかりと追いつつ、場合によってはもっと債券を買い増していきたいと思います。
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